はひふへほ

始まりはあんなにも曖昧で、まどろむように落ちていったというのに、終わりは実に冷酷なものだった。台所のはめ殺し窓は何年も拭われておらず、そこを抜ける日光はすべからく老いた。鈍く、暗く。今の自分にはそれがちょうどいいと、埃にまみれた頭で思う。畳の端で虫が這っていた。

ひざにあった擦り傷はずいぶん薄くなった。あの人に体熱を捧げた時、夢中で、傷を負ったことすら気がつかなかった。上下に揺れる景色と神聖な女の体。思い出の中に身を投じるのは簡単で、視界は白桃の色に、鼻には甘い香りを延ばし、うつぶしになって陰茎を潰す。

二人になったのはほんのわずかな時間だった。その間自分が人間であった自信は、乏しい。おれはあの女の、ユキ子の、きっと動く玩具に過ぎなかった。静かな部分が何度も警告した。しかしおれの大部分はユキ子のもとに下りたくて仕方がなかった。世話役という立場が崩壊した時が、夢の始まりだった。

部屋の中の温度が上がる。体の重み以上の力を局部にかければ、快感が爪先へ柔指を伸ばす。わざわざ強く息を吐き、手の中に愛しい肌を思いながら、やがて、一人で決壊した。下着の中で、精が上塗りされていく。

他の男を、ユキ子は抱くだろう。おれの身の程知らずが許され、外へ出られるまでに。急激に動きをなくしていく頭に、陳腐な映像を流してみる。代わりの世話役と絡み合う神様。その、笑えるほどに価値のない映像を、おれは拝んだ。濁った斜陽の中で泣くおれは、汚い。


白状

申し上げます どうかこれきりと願います

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